秋の夜長向けの話

日日是好日
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9月ですね。

まだ暑い日もありますが
季節は確実に秋に向かってますね。

そこで、秋の夜長にピッタリ!?
かもしれないお話しをひとつ。

15年くらい前のことです。
実は私、もともと医療従事者なのです。
当時は既に臨床から離れ、
医療系の電話相談の仕事をしていました。

そんな中、ある1人の同僚が
ボランティア活動をしていて
時間のある時に手伝ってほしいと
声をかけられました。

それが結構ディープ且つセンシティブ。

ザックリいうと、
刑期を終え出所した方の
更生の一助となるべく
ちょっとした雑談のお相手として
日常の困りごとや
気持ちを傾聴するような内容でした。

私は、その同僚に連れられて
3回ほどお手伝いに行ったものの

結局、その同僚自体がご家族の都合で
電話相談の仕事を辞めてしまったことで
その同僚とも、ボランティアとも
それっきりになってしまいました。

そして、結果的に最後の参加となった
ボランティアの日に
1人の男性からこんな話を聞きました。

色々あったけど
俺はこれからは絶対に
しっかりやっていきたい。
お金を貯めて
今の職場で出会った彼女と
ゆくゆくは結婚したい、と。

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私がうなずきながら聞いていると
少し間をおいて
その男性がボソッと喋り出しました。

こんなこと言うのはダメかもしれんが
刑務所の中で、
どうしてもわからなかったことがある。
今もちょっと気になっているので
話だけでも聞いてほしい、
理由がわかるなら教えてほしい、と。

俺は、刑務作業として
高齢や病気のために
ベッドで横になっている
しかないような受刑者の
間接的な下働きのようなことを
していた時期があった。
(ずっとその作業だったわけじゃないよ)

服役中に病気になる人は
結構いて、忙しかった。
一応、医師に
治療もしてもらえるし
それは、いいんだ。

もちろん
病気が治った受刑者は
そこを出て刑務作業につくが
そうはならずに
そこで亡くなる受刑者もいる。


その場合、場所柄もあるのか
ご遺体を一旦袋に入れる。

その袋は倉庫に置いてあった。

最初、刑務官に
袋を2つ用意するよう指示され
倉庫から持ってきて用意しておいたら
その夜2人亡くなった。

たまたまだろうし
そろそろ危ないと
医師からの進言があったとか
長くいれば、死期も
なんとなくわかるものかなと思った。

一方、袋の用意を
指示されなかった時は
誰も亡くならなかった。

まあ、これが日常。

俺にはよくわからないが、そんなに
死にそうな人がいる感じがなくても
袋の用意を指示された翌日には
必ず袋の数だけ亡くなっていた。

ある時なんか
結構多いなって思う数を指示されたので
やっぱり、多少余分に用意させるのかと
思っていたが
袋の余りは出なかった。

亡くなってから
袋を持ってきているわけでもないし
急なことで、慌てて
袋を用意するってこともなかった。
でも、袋の過不足は絶対に出なかったんだ…

次の瞬間、その男性の携帯電話が鳴った。
職場からの急な連絡とのことで
男性は、その電話に
神妙な面持ちで応答しながら
片手でバイバイのジェスチャーと
軽い会釈をして立ち去った。

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